#191970

言葉はミッドナイトブルーの文字から

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

色彩

病院の帰り道に買って帰ってきたマゼンタよりも少し薄い色の芍薬は2輪咲いたものの1輪は3日で咲き終わってしまい、もう1輪も散り始めて元気だったときの姿がない。夏の生花とはなんて儚いものなのだろう、と毎年思うことをわかっているのに買って帰ってしま…

除湿

車に乗っていた。後部座席に座るのは久しぶりだった。窓の向こう側からびゅんと音がする。自分達の乗っている車と対向車がどれだけ速度を出して走っているのかがわかる。こういうとき、自分達の車が対向車と正面衝突するシーンが浮かぶ。嫌な癖だ。そういっ…

夏至

髪の毛から外の匂いがする。化粧をして身なりを整えて外へ出たのだ、という達成感のある匂い。この匂いは嫌いじゃない。なんだか外の世界と繋がっているような気分になるからだ。 この日会っていた親友にかなり遅めの誕生日プレゼントを渡した。彼女に会おう…

ALBUM

レコードプレーヤーを探していた。あの部屋で見た水色のレコードプレーヤーはトイ・ストーリーに出てくるおもちゃみたいな優しい色をしていた。同じものがAmazonで見つかるかはわからない。Amazonだから似たような物は見つかるだろう。探す努力だけはする。…

¥0

テレビがぱっとついては消える。ホラー映画かミステリー映画か。青と赤が点滅する。目がちかちかとする。破壊されてゆくブラウン管は、どこかのMVで見たようにスローモーションで景色が再生される。目が覚めるとカーテンは全開になっており、太陽光がちょう…

雨音と疲労

窓の外でぽつぽつと雨の降る音が聞こえる。レストランに男性と一緒に入ってきた長いスカートを履いた女性に「座るとスカートの裾が汚れてしまいますね。こちらをお使いください」と言って椅子と床の間に平たいクッションを噛ませている従業員がいた。気遣い…

心雨

汗だくで目が覚める。ばらばらになった花弁を眺めながら美しい女性が「戦争に行くの」と言っていたのは夢の中での話だった。汗が引いていく。少し安心する。最近夢と現実が混じって見えるときがある。寝る前にSNSをやるのをやめろ、と自分に強く言いたい。 …

眼光

他人の瞳の色をじっくりと見るのが好きだ。瞳を見れば何かわかる気がしているくらいだ。色が薄い人もいるし濃い人もいる。私の瞳は黒い。他の人よりも黒い気がする。でも黒かこげ茶かと聞かれるとこげ茶寄りかもしれない。 ぬいぐるみに話しかけるときも、そ…

性別という季節

趣味の悪いバンドTシャツを着ている日は、大体誰かとばったり会ったりするしなんともうまくいかない。この日は友人と会う約束をしていたのでまともな格好をしていたが、依然として食欲はなく、胃も鈍く痛い。私はいつになったらこの胃痛に勝てるんだろうか。…

夏への切符

温度計が一緒になった時計を見た。部屋の温度が29℃を超えていた。外はもっと暑いのだろうか。暑さにうなされて起きるのも仕方ない時期になってきたのか。とりあえずエアコンの省エネモードで少しだけリビングを冷やすことにした。 今日は久しぶりに家族が誰…

MDノート

部屋に流していた音楽が止む。静寂が連れてくる孤独は、放っておくと大変なことになる。次の曲が始まる。何故かわからないが泣きたくなった。 Spotifyのデイリーミックスで久しぶりにハヌマーンの初期の曲を聞く。山田さんの声が若い。リビングのPCが私の希…